猫エイズは、症状に合った適切な治療を受けさせることで延命が可能になります。

猫エイズの治療

適切な対症療法で延命も可能

猫エイズはいったん感染してしまうと、ウイルス自体を攻撃してやっつけるといった治療方法がないため、残念ながら現段階では完治を望むことができません。でも、がっかりすることはありません。その時々の症状に合わせた適切な治療を受けさせることができれば、延命も十分に可能です。

猫エイズは急性の感染症ではありませから、感染後や急性期以外であれば、対症療法によって症状の改善をはかることができます。飼い主があきらめずに治療を受けさせさえすれば、10年、15年といった寿命をまっとうすることだって決して夢ではないのです。


初期の段階で治療することが大切

猫エイズに感染すると軽い感染症を引起すため、感染して1ヶ月ほどの「急性期」には発熱や、風邪を引いたり下痢をするなどといった症状の他、リンパ節の腫れなどがみられるようになります。こうした症状は数ヶ月間持続しますが、症状自体はそれほど激しいものではありませんし、徐々に、治癒してしまったかのようにみえる「無症状キャリア期」に移行してしまうため、感染初期の段階で気づき、積極的に治療を受けさせるという飼い主はあまり多くありません。

実際には、抗生物質やインターフェロンを早期に投与して治療を進めることができれば、体の防御反応が高まり、感染を消失させることも可能だとされています。少しでも怪しい症状に気がついたら、できるだけ初期の段階で積極的な治療を行ってあげることが望まれます。(⇒インターフェロンの効果)


無症状キャリア期の治療

「無症状キャリア期」というのは、急性期に見られた症状がいったん消失する時期を言います。症状は消失するものの、この間にもウィルスは猫の体内でリンパ球を犯し、次第にその機能を奪いながら病気を進行させていますから、この時期の猫の過ごし方、治療の進め方がエイズ発症までの期間を大きく左右することになります。

無症状の期間をいかに引き延ばすことができるかは、治療もさることながら、猫の免疫力をいかに高めるかにかかっていると言っても過言ではありません。免疫力を高めるためにも、猫にストレスのかからない、安心した環境を整備してあげるようにしましょう。また、猫エイズにしばしばみられる厄介な口内炎は、悪化させないことが肝要です。口の中の様子には細心の注意を払い、何かしらの兆候が確認された場合には、早め早めの治療を心がけるようにしてください。


猫エイズ発症期の治療

エイズを発症すると、リンパ節の腫れや体重減少、慢性鼻炎、慢性皮膚炎、慢性腸炎、貧血など、さまざまな症状がみられるようになります。特にその約半数に認められるのが口腔内の疾患です。歯肉や歯周組織などに激しい炎症や細菌感染(口内炎)がみられ、食事をする時に痛がるなどの症状がみられるようになります。(⇒猫エイズの発症)

これらの症状に対する治療はあくまでも対症療法ですから、症状の軽減と二次感染の治療に限られてしまいますが、丁寧な治療とQOL(生活の質)の維持を心がければ、延命は十分に可能となります。発症したらもうダメ・・・とあきらめてしまうのではなく、むしろ積極的に症状にあった適切な治療を受けさせ、症状の緩和をはかってあげるようにしましょう。



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