猫エイズによる口内炎の食事管理
口内炎がみられるようになったら
猫エイズに感染するといろいろな感染症が引き起こされますが、その中でも厄介なのが、難治性の口内炎です。症状としては、口の奥の歯茎が赤くなり、涎や口臭がある、食事をすると口をひっかくような仕草をする、痛そうなそぶりを見せるといったことがあげられます。痛みのために次第に食事を摂ることができなくなってしまうと衰弱してしまいますから、食事の管理には十分な注意が必要です。
口内炎の症状がみられる時には、ストレスが加わらない環境を整えることが大切です。そのことによって免疫があがるからです。また、免疫力は、食事を摂取することでも高まりますから、安全で新鮮な食事、栄養価の高い食事を与えるようにしましょう。その上で、炎症を抑えるための治療を進めてください。
高栄養の食事を与える
口内炎がひどい時には、流動食に近いものでなおかつ高カロリーのものが適しています。ただし高カロリーの食事は少量ずつ与えるようにしないと、下痢をしてしまうことがあります。また、食べさせなければと思うあまり、無理に食べさせようとするのも禁物。猫にストレスを与えてしまうことになります。猫の嗜好と食べ方を良く観察し、気長に時間をかけてゆっくりと食事をさせるようにしましょう。
高カロリー食には、動物病院などで購入できる療養食があります。療養食は高カロリーというだけではなく、食べやすいように小さく刻まれているものや、アゴの裏に簡単につけられる柔らいパテ状のもの、シリンジなどで与えることのできる流動食に向いたペースト状のものまでいろいろありますから、症状に合わせて選ぶことができてとても便利です。ただ、猫は食に対してとても保守的ですから、自分の好みに合わないものはよほど空腹でもないかぎり口にしてくれません。口に合う療養食を選ぶのはなかなか大変かもしれませんね。
無理に食べさせないこと
療養食は動物病院で購入することができますが、栄養価が高いからといって嫌がる療養食を無理に与えれば、猫にとって食事そのものがストレスになってしまいます。食べたがらない時は決して無理強いをせず、普段食べている好きな食事の中から、なるべく症状に適したものを選び、無理のないように与えてください。
最近では、材料を厳選した手作りの療養食を食べさせる飼い主さんもずいぶん増えてきているようです。細かく刻んだり、すりつぶしたり、ミキサーにかけるなどして、その時々の症状に合った調理法を工夫してあげるのも愛情のひとつ。愛情は猫にとって一番の薬かもわかりません。
代表的な療養食
病院で購入できる療養食には以下のようなものがあります。獣医師と相談しながら、症状に適した療養食を与えるようにしましょう。
・ヒルズa/d
高カロリー・高脂肪の管理栄養食です。ペースト状になっているので、そのまま食べさせることができますが、少し柔らかくふやかしてシリンジであげることもできます。
・ニュートリカル
ゼリー状になった完全栄養食です。少量で一日の栄養がとれるので、短い時間しか強制給仕に耐えられない猫や、時間があまりない飼い主にはお勧めです。
・ウォルサム 高栄養・免疫サポート
病気のネコや妊娠・授乳期、成長期のネコのための高栄養な流動食で、カロリー含有量を高めています。エイズでやせがちなネコの体力維持にも効果的です。パウダータイプなので、流動食として使用したり他の食事に混ぜてあげることができます。
・ロイヤルカナン 退院サポート
消化性の高い原材料を使用しており、少量でも充分なカロリーが摂取できるよう、高エネルギー化されています。かなり柔らかいペーストなので、重症例や自発的な摂食が困難な場合には、シリンジなどでも与えることができます。(⇒強制給餌の方法)
猫とお酒が大好きな鈴子(りんこ)です。これまでに飼ってきた猫たちの経験も踏まえて書いています。お役に立てると嬉しいです!!
イラストは「アイコン屋めがぴこ」さんからお借りしました。