猫エイズのワクチン接種の有効性と副作用

猫エイズのワクチン接種について

猫エイズのワクチン接種

猫エイズワクチンは2002年にアメリカで使用が認可されました。日本はそれから6年後の2008年に認可されています。

ワクチンメーカーが実施した、接触感染の防御試験(健康な猫を猫エイズに感染している猫と一緒に狭い空間の中で飼育し、一定期間後に感染の有無を調べる試験)では、ワクチンを接種している猫の感染率はゼロ%、ワクチン未接種の猫では、その感染率が50%にのぼったという報告があります。FIVウイルスの型によりますが、実際の予防率は70%程度ということのようです。


猫エイズワクチンの問題点と副作用

猫エイズワクチンの防御試験では、サブタイプAとDについての直接攻撃試験が実施されていて、それぞれ約70%の防御率が実証されています。しかし、日本の場合はサブタイプBの割合が60%から70%あるため、猫エイズワクチンが実際にどこまで有効であるか、臨床の段階では未知数とされています。

また、重大な副作用として、悪性度の高い繊維肉腫である「ワクチン関連肉腫」が報告されています。罹患の確率は1/1000~1/10000ですが、ワクチン接種回数の高い猫ほど発生の危険性が増加するとされています。その他にも、ワクチンの注射部位に炎症が起きたり、接種後の発熱や疼痛、下痢、嘔吐、過敏体質の猫の場合にはムーンフェイスや掻痒、蕁麻疹などのアレルギーが生じることがあります。また、血液循環に急激な異常が生じて生命をおびやかされるアナフィラキシー・ショックが起こる場合もあります。


猫エイズワクチンの接種方法

ワクチンの接種に際しては、事前に猫の健康状態を必ずチェックするようにしましょう。成猫の場合であれば、事前に抗体検査等を行い、猫エイズに感染しているかどうかを確認してから接種するようにします。副作用などのリスクも心配されますので、接種後の猫の健康状態にも十分な気配りが必要です。

猫エイズワクチンの接種方法としては、8週齢以上の猫に、初回は2~3週間毎に3回接種します。その後の追加接種は1年以上の間隔を空けてから行います。猫エイズワクチンは、3種混合ワクチンなどとの同時投与を避けなければなりませんから、投与したワクチンが生ワクチンなら1ヶ月以上、不活化ワクチンなら1週間以上の間隔をあけてから、猫エイズワクチンを接種するようにしましょう。


ワクチンの接種は必要か

ワクチンには、接種したほうが良いとされる「コアワクチン」と、必要に応じて接種する「ノンコアワクチン」があり、猫エイズワクチンは「ノンコアワクチン」に分類されます。

室内飼いを徹底している猫の場合、感染している猫と咬み合いのケンカでもしない限り、猫エイズに感染する可能性はかなり低くなります。それよりもむしろ、ワクチンを接種したことによって生じる副作用などが懸念されるため、今のところ積極的に猫エイズのワクチン接種を勧める獣医師はいないようです。



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