猫エイズの治療にサプリメントを併用する

猫エイズの治療とサプリメント

猫エイズとサプリメント

猫エイズにいったん感染してしまうと、病気そのものを完治させることはできません。治療としては、その時々に現れる炎症や痛みを軽減させるために抗生物質や抗炎症薬、インターフェロン等を用いる、いわゆる「対症療法」が主流となります。(⇒猫エイズの治療)

根本的な治療ができない、あるいは決定的な治療方法がないことから、最近では、病院での治療と並行して、猫本来の免疫力を向上させることを目的として、サプリメントを併用する飼い主が増えてきました。


サプリメントとはどのようなものか

サプリメントとは、アメリカの食品の区分の一つであるダイエタリー・サプリメント (dietary supplement) のことで、アメリカの場合にはDSHEAという法律によって「薬と食品の中間のもの」という定義がなされています。狭義には、不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給を補助することや、ハーブなどの成分による薬効の発揮を目的としている食品を指しています。

日本では、アメリカのようにサプリメントを規定してはおらず、あくまでも「栄養補助食品」もしくは「健康補助食品」という位置づけになっています。したがって、猫などにサプリメントを併用するときには、医薬品としての効能を期待するのではなく、その猫が本来持っている免疫力、生命力を引き出す補助的なものと考えることになります。


サプリメントの効果

よだれがひどくて口を痛がっているという猫に対し、消炎効果が期待されるサプリメントを使ったところ症状が改善されたとか、ステロイドを持続して使う必要があったものが、サプリメントを用いたことで緩和されたなど、サプリメントの効果が最近ではいろいろと報告されるようになりました。最近では、積極的にサプリメントを併用する動物病院も増えてきています。動物病院でも使用されているサプリメントには、以下のようなものがあります。

・ユッカインテンシブ
口内炎にはしばしばステロイドが使われますが、ステロイドは個体の免疫機能を低下させてしまうため、エイズウイルスをかえって活性化させてしまい、口内炎などを悪化させてしまうことがあります。天然のステロイドと言われているユッカという植物には、強力な抗炎症作用をもつステロイドサポニンが含まれており、体内で自らのステロイド生成を助け、病気の改善をはかることができるとされています。ユッカを濃縮したサプリメントが「ユッカインテンシブ」です。(⇒口内炎とステロイド)

・プロポリス
ヨーロッパでは古くからプロポリスの抗菌作用、抗炎作用について知られており、民間治療に使われていました。プロポリスというのは、ミツバチが巣を外敵から守るために、自分の唾液などの分泌液を混ぜ合わせて作り出した「蜂ヤニ」と呼ばれる物質で、各種有機酸やミネラルが含まれるほか、植物に広く分布しているフラボノイド類が多く含まれています。病院で処方されるペット用プロポリスは、猫エイズの緩和、猫の口内炎などにその効果が期待されています。

・アロマテープ
ユーカリ油のアロマセラピーの原理を応用したサプリメントで、首に巻いて使うパッチ状のものを「アロマテープ」と呼んでいます。痛みの軽減、免疫の増強に効果があるとされており、動物病院でも購入することができます。ただし効果についての評価はさまざまで、アロマテープの効果に疑問を投げかける獣医師もいます。

・ラクトフェリン
ラクトフェリンは、哺乳類の乳に含まれるたんぱく質の一種で、初乳の中に多く含まれている天然の生理活性物質です。初乳には免疫を強化させる働きがありますが、特に抗菌作用や抗酸化作用があるため、猫エイズなどによる口内炎に効果を発揮するサプリメントとして注目を集めています。


サプリメントは補助的なもの

サプリメントは薬ではありませんから、すぐに効果が現れるというものではありません。また、個体によって合ったり合わなかったりということがありますから、現代医学での治療に限界を感じた時や、薬の副作用が心配な時などに、治療と併行して補助的にサプリメントを使用することをお勧めします。

サプリメントを選ぶ時には無添加、無香料、無着色といった高品質のものを選ぶようにしないと、添加物がかえって体に悪さを働いてしまうということにもなりかねません。最近は動物病院でも、一般的な治療では対応できない難治性のウイルス病に対し、免疫増強サプリメントを通常の薬と組み合わせて積極的に使用しているところなどがありますから、サプリメントを使ってみたいと思った時には獣医師に相談し、信頼のおけるサプリメントを入手するようにしましょう。



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