猫エイズの母子感染

猫エイズの母子感染

初乳を通しての母子感染

子猫が産まれた直後に飲む母乳を「初乳」と言います。初乳には、母猫が持っている抗体がたくさん含まれていますから、初乳を飲んだ子猫は母猫の抗体を直接体内に取り込むことになります。それが自分自身の抗体となり、後々機能することになるのです。したがって、初乳を飲んだか飲まないかが、その後の、猫の病気に対する抵抗力の差となって現われてきます。

それはまた、母猫が猫エイズに感染していた場合、母乳を通してエイズウイルスの抗体を子猫が体内に取り込んでしまうことをも意味します。母猫からのこのような「移行抗体」は、生後しばらくの間、子猫の体内にとどまりますから、猫エイズに感染している母猫から生まれた生後2ヶ月から3ヶ月の子猫の場合、感染していないにもかかわらず、抗体検査の結果「陽性反応」を示すことがあります。ただし、母猫からの移行抗体は、時間をかけて少しずつ減少していきますから、いずれ抗体は消えてしまいます。生後2~3ヶ月のときの検査では陽性だったものが、6ヶ月から8ヶ月以降に再検査をしたところ陰性だったというケースでは、こうした理由が考えられます。(⇒子猫の感染と検査)


産道や胎盤での母子感染

母猫が猫エイズウイルスを持っていても、感染している母猫の産道を通る時、胎子は袋に包まれていますから、その過程で母子感染する可能性はほとんどないとされてきました。ところが最近では、胎盤や産道で子猫が猫エイズに感染する可能性についても、少しずつ言及されるようになってきています。ただし、感染した子猫は死産か生後数週間~数ケ月の間に死亡してしまうことが多いため、どの程度の確率で感染するかについての正確な数字を把握することはできません。


唾液による母子感染

猫エイズウイルスの感染力は非常に弱いので、唾液による母子感染の可能性はほとんどないとされています。猫エイズに感染している母猫が子猫と同じ食器で食事をしたり、グルーミングをしたとしても、その唾液で感染するということはまずありません。

母子感染が疑われるケースとしては、子育てをする中での母猫との接触が考えられます。たとえば、子猫を運ぶために口にくわえた時に皮膚に傷をつけてしまい、そこから母猫の唾液を通して感染する可能性などが考えられます。いずれにしても、猫エイズの母子感染は極めて稀なこととされています。(⇒猫エイズの感染経路)



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